遊郭編のアニメもとっくに終わり、刀鍛冶の里編の放送まで寂しい思いをしているみなさん。
鬼滅を扱っているブログやYouTubeチャンネルが続々と『東京リベンジャーズ』『スパイファミリー』(ちょっと前まで『呪術廻戦』)に領地を広げていくなか、あえて『ナニワ金融道』を推したいと思います。
今年から高校で金融教育が始まったそうですが、学校を出て学校に戻ってきた世間知らずの公務員にお金の授業なんてできんのか、という疑問がわいてきませんか?
教科書的なお金の入門書なら私もいくつか買って読みました。
たしかに読んだときは知識が増えて賢くなったような気がするのですが、なんとなく仕組みを理解したところで終わり。それ以上の興味が持てません。
英語の授業に出てくるグリーンさんがどうなろうと知ったこっちゃないのと同じで他人事です。
歴史もそうですが、闇雲に覚えようとするとただただ苦痛です。物語から入るほうが身近に感じられて理解が深まると思います。そのうえでお勉強していくほうが無理がないんじゃないでしょうか。という流れで『ナニワ金融道』です。
学習漫画としてお子さんに読ませている家庭もあるそうで、これからは偉人の伝記の隣にちょっぴり刺激的な学習漫画として『ナニワ金融道』が並ぶかもしれません。
誰も推せない『ナニワ金融道』のキャラクターたち
青木雄二さんの描く人物はのっぺりした顔(でもおじさんのバリエーションは豊富)に平べったい体という、蛭子能収系の上手いのか下手なのかわからない味があります。
暴力団と対峙する場面でもこの絵柄なので緊張感がなくなんだかコミカル。人物はあっさりしているのに模様などは異常に書き込みが細かく、ちょっとキモい。
主人公の灰原もイケメンとは言い難く、特別才能があるわけでもない普通の青年です。
基本的に真面目なので他の登場人物に比べると好感が持てますが、やっぱり金貸しなので女子大生を風俗に沈めたりもして、誰も推せないし、推すよりむしろ引く。
登場人物が老けすぎ(肉欲棒太郎はぜったい26歳じゃないだろ)、女性が優しすぎ(借金抱えた彼氏や夫を見捨てない)には昭和という時代を感じました。
コテコテの大阪弁と絵柄のおかげで妙に明るく、あまり悲壮感はありません。えぐい話でも生理的に無理というほどではないです。
たまにネットなどで帝国金融(『ナニワ金融道の舞台となる街金会社)が「闇金」と紹介されているのを見るのですが、帝国金融は闇金ではなく「街金」です。
規模が小さいだけでア○ムなどの大手と同じ消費者金融(昔でいうサラ金)。
闇金は完全に違法ですが、帝国金融はいちおう法律を守って営業しています。
ただ、「バレなければ何をしてもいい」の精神で金を儲けているだけです。
「月2分」のカラクリ
帝国金融の金利は月2分(月利2%、年利24%)。
300万円借りると36万の10回払いになります。
でもこれ、よく考えると実際は元金が減っているので2回目からは利子も減るはずなんですよね。
なのに利子はずっと6万円のまま。10回目は30万に対して6万も払うことになります。
結果2%で計算した時の倍くらい払うことになるんじゃないか?という街金マジック。
しかも奴ら「300万貸す」といいながらサクッと1万抜いて299万しか渡さない鬼です。
相手は切羽詰まっているのでごまかされても気が付かないだろうと足元を見ているわけですが、やり方がえげつない。
自分で商品を売って何十万も稼ごうとしたら大変ですよね。田舎のバイトなんて余裕で日給1万に届きません。
一方でずる賢く頭が働く人には簡単にごまかせる程度のお金だったりするので「汗水垂らして働いて」「嫌なことを我慢して」お金を稼ぐ方法しか知らないままでいるのは恐ろしいことです。
YouTuberの失敗小僧さんが言っていた「悪魔に魂を売れば簡単に儲かる」が頭に浮かびました。
無知な人は損をするようにできている
いわゆる底辺と呼ばれる人には無知な大人がたくさんいます。
「%」がわからない大学生が増えてるとかいう話もありますが、そもそも底辺には「10%が何割か」すらわからない人もいて、請求されたら言われるままお金を払ってしまいそうです。
何も知らないから金融屋に限らずあらゆるところで搾取されるだろうし、されていても気づかなさそうで闇が深い。
よく「消費者金融にお金を借りてはいけない」とか「連帯保証人になってはいけない」と言われますが、それはなぜか。
『ナニワ金融道』を読めば「金利がクソ高い消費者金融に大金を借りなければいけないほど困窮している人がまともに返済できるわけがない」のであり、「そんな人の連外保証人になったら借金地獄」だということがよくわかります。
私も何も知らないので人のことは言えないのですが、この世界が「無知な人が損をするゲーム」だと知らないことには何もはじまらないんですよね。
〈本筋と何の関係もないけど気になるから言いたい〉
現代のお金持ちはなぜナニワ金融道系のガツガツしたタイプばかりなんでしょうか(お金配りおじさんとか)。
私は昔のお屋敷を見に行ったりするのが好きなのですが、昔のお金持ちは芸術などにも造詣が深く教養のある人が多かったような気がします。
風流なお金持ちは絶滅したのでしょうか。それとも目立つところに出てこないだけ……?