私の友達は統合失調症の誇大妄想で自分を神様だと信じているのですが、あの方ほど神様業に熱心な自称神様はいないんじゃないでしょうか。
自称といっても神様は神様ですから、下界の悲惨なニュースを目にする度に心を痛めていました。
それで「悪い人間が増えすぎたから地獄の拡張工事をする」と言い出したんです。
地獄ってディズニーランドみたいに簡単に拡張できるものなのかな……と思いましたが、神様ができると言うならできるんでしょう、たぶん。
私も「悪人を懲らしめるための恐ろしい刑罰を一緒に考えてほしい」と神様からお題を出されたのですが、いい考えが思い浮かびません。
「人食いナマズが泳いでいる池でも作って、そこに人間を放り込んだらどうでしょう」とB級ホラー映画みたいなベタな提案をしてしまいました。
神様の反応も微妙だったので、これは滑ったなと確信しました。
「わしが考えたのはそんなもんやないで。めちゃめちゃ怖い」
いつも謎の自信に溢れている神様ですが、この時のドヤ顔は忘れられません。
あ、めちゃめちゃ怖いって言いましたね。自分でハードル上げてきましたね。私のアイディアよりしょぼかかったら許しませんよ、と思いながら神様の話を聞きました。
「まず人間を氷漬けにしてな、その氷を使って、でっかい人間かき氷を作るんや」
想像してみてください。地獄の鬼が粛々とかき氷を作っているところを。
可愛いものが大好きな神様のことですから、きっとクマの形をしたラブリーなキョロちゃんのかき氷機を地獄に持っていくつもりなんです。頭のレバーを回すとお目々がキョロキョロ動くキョロちゃんです。
そんなの置いたら地獄の世界観台無し!
せっせと罪人を茹でたり皮を剥いたりしている鬼がやる気なくしますよ。
思わず笑ってしまったら、神様が「そんなに面白いかな」と不思議そうにしていました。面白いよ。間抜けすぎるよ。
こんな感じで私の想像もつかないことを思いつくのが神様のすごいところです。天然ボケでジミー大西に勝てるのはうちの神様くらいじゃないでしょうか。