5月28日に川崎市多摩区で19人が殺傷される事件がありました。
私がブログを始めた頃より、ひきこもりやニートを名乗るブロガー(YouTuberも)は増えましたが、ひきこもりは自分のことで手一杯で他人に関心が薄いうえ、相手が殺人犯ともなれば話題にはしないでしょう。
しかし、ひきこもり当事者がこの事件をどう思っているのか知りたい方もいるでしょうから、ひきこもりの一人として今の心境を書き記しておきます。
目に見えているのは一部だけ
私が想定するひきこもりはせいぜい、
- 定職についてない
- 経済的に自立できてない
- 家にこもりがち
- ネット環境がある
という人たちです。
この容疑者のようにPCもスマホも持たず、外部と一切接触がない真性のひきこもり、しかも一回り以上も年上の男性の気持ちがわかるなんてとても言えません。そういう人もいるだろうと感じていた程度です。
親からお小遣いをもらっているわけでもなく、わずかですが家にお金も入れていて、友達がいる時期もありました。一般の人からみれば社会性はないに等しいですが、ずっと断絶状態だったわけではないです。
もし人を殺すほど思いつめていると相談されても、「ひきこもりへの風当たりが強くなるだけなので、社会に抗議するなら別の方法にしましょう。他人の命も自分の命も大切にしてください」という平凡な答えしか出てこないと思います。
ひきこもりといっても状況は様々で、ネットが使える人はまだマシな部類なんでしょう。
ひきこもり母の意見
母はテレビの報道を見て、
「死にたいなら一人で死ね」
「伯父夫婦がかわいそう」
「この犯人は頭が悪い」
と、たいへん憤っていました。
ひきこもりは社会の害虫。保護者(親)を苦しめる悪。そして馬鹿。ひきこもりを作った親として100点の答えではないでしょうか。
母は勉強は得意でしたが発達障害を疑うレベルで能力に偏りがあり、ほとんどの仕事に向いていません。
それでも昔優等生だったというプライドだけはあって「こんな馬鹿と一緒にされたくない」といわゆる底辺の人々を見下します。
結婚するのが当たり前の時代だったので、イケメンだけど30過ぎて貯金が1円もない父と結婚しました。頭の良い人は問題解決能力に優れているそうですが、母は人生は行き当たりばったりです。
母から映画『レッドクリフ』の感想を聞いたときのことです。
「あれは金城武の諸葛孔明のアイドル映画だ」とか「リン・チーリンがキレイだった」などと話した後、
「ところでレッドクリフってなんの話だっけ?」
と言い出しました。
吉本の舞台だったらコケるところですが、「赤壁の戦いだよ。だってレッド(赤)クリフ(崖)だよ?」と教えてあげました。頭が良かろうと悪かろうと興味のないものは見ていない。人間なんてそんなものです。
どのジャンルにも精通している必要はありませんが、自分の愚かさを知らない人を賢いとは思いません。
どちらかというと母は頭が良いというより洗脳されやすかったため、集団生活が苦にならなかっただけのような気がします(不登校YouTuberのゆたぼんくんに言わせればロボットですね)。
一年ほど前、はてなブロガーのhagexさんを刺殺した低能先生は母が言うところの頭の良い人でしょうが、殺人という最も割に合わないことをしました。
追い詰められれば誰だって判断力は鈍ります。母がひきこもりを目の敵にするのは偏見でしかありません。遠回しに自分を苦しめている私(娘)を攻撃したいだけなのだと思いました。
勝手に物語をつくらないほうがいい
普段は存在を無視されているのに、凶悪事件が起きた時だけひきこもりが注目される、といういつものパターンだと思いますが、努力が報われない時代になったせいか、昔よりもひきこもりに優しい意見が増えたように感じました。
母のようにひきこもりは悪党と決めつけるのも、容疑者に感情移入しすぎるのも良くない気がします。狙われたのがエリート校だったことから、「持たざる者の怒り」と結びつけてしまうと余計にややこしいことになります。
容疑者は一言も残さずに自死を選びました。それ以外の答えはありません。自分を分析してほしいなんて思ってないはずです。