21日に俳優の大杉漣さんが亡くなりました。テレビや映画でよく見ていたので、いまだに実感がないです。
たけし映画やドラマもいいですが、私はホラー映画の弾けた演技が好きでした。
どんなに荒唐無稽な話・変なキャラクターでも馴染んでしまうところはさすがカメレオン俳優です。
とくに印象に残った3作品をご紹介します。
うずまき
公開:2000年
監督:Higuchinsky
出演:初音映莉子
フィーファン
大杉漣
阿部サダヲ
原作:伊藤潤二『うずまき』
小さな町「黒渦町」で“うずまき”にまつわる怪事件が多発します。
大杉漣は主人公桐絵のボーイフレンド、秀一の父親役。
映画の雰囲気はいいんですが、主役の二人の演技がヘタすぎる。
とくに秀一くん(フィーファン)の日本語が怪しくて、シリアスなシーンが台無し!
そんな危うい世界観を支えているのが秀一くんのお父さん(大杉漣)です。
味噌汁にナルトが入っていないとケチをつけるシーンは、原作以上に不気味でした。
舌の上に乗ったナルトをじーっと見ているところがおぞましい。
桶のシーンが映画では洗濯機に変わっていましたが、洗濯機のほうがイヤです(涙)。
このへんはうまく脚色されていると思いました。
それだけに、お父さんの出演シーンが終わるとテンションが下がっちゃうんですけどね。
気持ち悪い大杉漣を愛でる映画としては満点です。
エクステ
公開:2007年
監督:園子温
出演:栗山千明
大杉漣
佐藤めぐみ
つぐみ
大杉漣さんは死体安置所で働く髪フェチの「山崎」という男を怪演しています。
横浜港のコンテナから発見された美少女の遺体。その髪に惚れ込んだ山崎は、切り取った髪をエクステにして美容院に持ち込みます。
毛髪に宿った少女の怨念が、エクステを使った女性たちを襲います。
変態男のせいで関係のない人が犠牲になるという、迷惑極まりない話。
しかも長髪で「ヘアーヘアーマイヘアー♬」と歌われた日には、もう笑うしかない。
変なセリフもちょくちょく出てきます。
「毛をなめるからこうなるんだ」には吹きました。
栗山千明の「こっち来い、変態!」もなかなか……。
ホラーなのかギャグなのかわからない映画ですが、ゲスいキャラが活き活きと描かれているのは園子温らしいな、と思いました。
オーディション
公開:1999年
監督:三池崇史
出演:石橋凌
椎名英姫
松田美由紀
大杉漣
原作:村上龍『オーディション』
妻を亡くした中年男(石橋凌)が、映画のオーディションを利用して再婚相手の女性を探すというストーリー。
麻美という美しくて知的な女性と付き合うことになりますが、じつはこの女性、『ミザリー』顔負けのサイコパス。終盤はスプラッターまっしぐらです。
気になる大杉さんの役どころは、麻美のペット。
歩けない、喋れない状態にされているので、唸り声で誰だかわかるくらい。
家畜人ヤプー的なヤバさでした。出演シーンは短くても絶対に忘れないキャラです。(人によってはトラウマ)
でも、鬼畜なことをする麻美にも哀しみがあるんですよね。
表向きはホラーですが、女性を消耗品として扱う男性への痛烈な風刺にも思えます。
グロ耐性があれば女性にも見てほしい映画です。
*
名作は『オーディション』、笑うなら『エクステ』がおすすめです。
でも、個人的にはこの中で一番ポンコツ映画の『うずまき』のお父さん役が好きです。顔も原作に似てる。
いまではレンタルショップにも置いてない映画ばかりですが、Amazonプライム会員になると『オーディション』を0円で鑑賞できますよ。